前回の下限面積要件(50a要件)の話の続きです。
前回は農地法3条による利用権設定について触れましたが、よく利用されるもうひとつの利用権設定方法として、農業経営基盤促進化法による利用権設定(以下「促進化法による利用権設定」といいます。)という方法があります。
ふたつの違いですが、農地法3条による利用権設定が、当事者の契約を農業委員会が許可することで効力発生させる方法であるものに対し、促進化法による利用権設定は、市町村が当事者の間に入る形で取りまとめた体の農地利用集積計画を一定の手続を経て効力発生させる方法です。
そもそも農業利用権設定の効力発生に役所が介在する理由は、農地できちんと農業が行われるのか?を役所が目を光らせるためであり、そのチェック内容のメインは利用者自身による利用計画です。少々乱暴な表現をすると、話がまとまってからチェックをするのが農地法で、話をまとめる前にチェックさせるのが促進化法、と言えるかもしれません。
何が言いたいのか、というと、話をまとめる前に役所が首を突っ込んでいますので、ダメだと思えば農地利用集積計画を策定しなければよいのです。つまり、役所が農地利用集積計画を策定した事案は、役所としてOKを出せる農地の利用計画である、ということです。ですので、農地法にあったような下限面積規程がありません。
これを農業参入者の立場から捉えると、前向きに意欲ある新規就農者の後押しとして利用している市町村もあるのですが、あくまで50a要件が前提にある、として運用している市町村も少なくありませんでした。
後者の場合に面倒なのが、農地法と異なりなんの根拠もない下限面積ルールのため、農地法では別途定められていた、合理的理由による下限面積撤廃要件が存在しない、ということです。
前回危惧していた条例による下限面積導入の噂ですが、なぜ下限面積が存在したのか考えもせず、これまでの慣習からなんの根拠もなく設定されるとなると、先進農業参入を考えている方には、やりづらいことになりそうです。
![](https://i0.wp.com/office-fuku.pro/wp-content/uploads/2022/07/DSC_0229.jpg?resize=1020%2C765&ssl=1)